はじめに
動物学者であるデズモンド・モリスの著書に『赤ん坊はなぜかわいい?-ベイビーウォッチング12ヵ月』という有名なものがあります。
動物や、ヒトの赤ちゃんがかわいく見える根拠や、またその成長発達について科学的に書かれており、非常に興味深い内容です。
今回はその内容も踏まえつつ、私たちがかわいい、愛おしいと感じ、自然に笑顔になってしまう赤ちゃんの不思議な魅力についてお話しましょう。

赤ちゃんの「かわいさ」の正体
赤ちゃんはみんな、大きくて丸い顔、大きな瞳、小さくて短い手足を持っています。
それらは『ベビースキーマ』と呼ばれ、これもまた動物学者さんの提唱された特徴です。
また、私たちが本能的に「かわいい」と思うだけでなく、
ヒトではない動物から見ても、『これは未熟な赤ちゃんだ』とわかるものだそうです。

私たち人間も、動物の大人と赤ちゃんの区別はほとんど見分けることができますが、逆に他の動物たちも、同じような認識を持っているということです。
ヒトも他の動物も、赤ちゃんは生きる力が皆未熟。
生きるためのサポートが必要であり、また他からの攻撃を避けたり、警戒心を緩める必要があります。
そのため、どんな生き物も『赤ちゃんはかわいくなければならない』のです。
つまり、赤ちゃんをかわいいと感じることは、私たちの動物としての本能なのです。

我が子に感じる「かわいさ」の正体
赤ちゃんはみんなかわいいのですが、我が子となるとかわいさもひとしお。
自分達の子どもが生まれるまでは、赤ちゃんをかわいいと感じたことがなくても、特別な感情が湧いてきます。
それは、愛情ホルモンと呼ばれる『オキシトシン』が原因です。
このホルモンは、スキンシップやお世話で、赤ちゃんに触れれば触れるほど分泌され、愛情に満たされて幸せな気持ちになる作用があります。
また、母乳を押し出すホルモンもあるので、授乳中はさらに愛情を感じやすいと言われています。

赤ちゃんの生きる力
赤ちゃんにはすでに愛される風貌を持っていて、さらにスキンシップをすることで愛情がどんどん深まると前述しましたが、赤ちゃん側にも時を追うごとに、さらに愛される要素が増えてきます。
それは成長です。
今まで反応がなかったのに、笑顔が返ってきた。
話しかけると、声で返事をしてくれた。
昨日できなかったことが、今日できた、など。
このように成長過程では、赤ちゃんを愛おしいと感じる瞬間が数多くあります。

親にとっては少し困った『人見知り』現象も、裏返せば信頼関係が築けている証拠なのです。
また、赤ちゃん自身も生後6か月くらいからオキシトシン分泌ができるようになり、相互の愛情の確認ができるのです。
親としての心の変化
スキンシップで増えていくオキシトシンも、赤ちゃんの成長も、常に変化します。
愛情もそれに伴って大きくなっていくものですが、少しその性質が変わってくることもあります。
最初は、その愛くるしい見た目がかわいい、というところから始まります。
そこから、『護ってあげたい』『成長して幸せになってほしい』という親としての責任感が芽生えてきます。

中には、そのプレッシャーに不安を抱えて苦しむ方もいらっしゃいます。
それについては、また後日詳しく深堀りしていきたいと思います。
さいごに
ふわふわのほっぺ、ムチムチの腕、いとおしくなるその仕草。
すべてに意味がありましたね。
『子はかすがい』ということわざをご存じでしょうか。
かすがいとは2つの素材を繋ぐ釘のことです。
昔から、子どもはまず両親を繋ぎ、ご近所のコミュニティなど、人と人をつなぐ大切な力を持っていると考えられていたのですね。
育児は、いつも楽しいことばかりではありません。
我が子がかわいいからやっていけるのです。
そんな不思議な力に支えられて、私たち大人も成長していくものなのです。

